4月に入ったと言うのにまだ桜の花に出会ってない chiyomi さんは、18きっぷの行き先を桜の開花がこの辺りでは一番早い和歌山に決めましたが、和歌山城しか思いあたりません。
そしておもいついたのが、有吉佐和子さんの小説 “紀ノ川”
JR阪和線六十谷駅を過ぎるとすぐ紀ノ川を渡る鉄橋にさしかかり、数分で和歌山駅に到着です。
“紀ノ川”の主人公花さんは、二十二才で生まれ育った九度山村の紀本家からこの六十谷の名家真谷家に嫁ぎました。五艘の船を連ね二艘目には塗駕籠に乗った花さんが乗って、紀ノ川の流れに沿うて。だから chiyomi さんも本当なら九度山から出発したかったのですが、和歌山城の桜を午前中に見たかったので花さんとは反対のコースを取ることになりました。
一の橋を渡り大手門を行ったところの桜です。今年初めてのきれいな桜です。戦争で焼失した天守閣が再建された時、花さんは孫の華子さんとやはりこの一橋を渡り天守閣に登り六十谷の方を眺めます。
でも今県庁の建物の向こうに見える六十谷は、花さんの見たのとは違う六十谷になっているはずです。紀ノ川もわずかにしか見えません。城の屋根の向こうに見える紀ノ川は、和歌山港に流れています。桜の花がまるで手まりのように固まって咲いているのを見て、思わず“てんてんてんまり、てんてまり。てんてんてまりのてがそれて・・・・”と歌ってしまいました。
JR和歌山駅から和歌山線に乗り、九度山のある高野口を目指します。
15分ほどするとJRは紀ノ川沿いを遡ります。紀ノ川の向こう側に見えるなだらかな山は、上の方までミカンとカキの果樹園になっていて、その風景に魅せられている内に約1時間で高野口の駅に着きます。電車は2両編成のワンマンカーになっていて、駅のほとんどが無人駅なので一番前の出入り口のみが開きそこで運賃を払っております。
嫁ぐ日の朝花さんが祖母の豊乃さんと共にお参りした慈尊院に是非行ってみたかったので、駅からタクシーを奮発しました。乳型も納められていましたが、小説のように古いのはなく、今は新しいののみありました。
慈尊院は女人高野とも言われ、世界遺産になっています。弘法大師のお母さまがここに住まわれ、大師様は月に9度お母様に会うため高野山から慈尊院にこられたので、この辺りの地を九度山と呼ぶようになったそうです。
タクシーに乗って紀ノ川を渡る時、紀ノ川上流の穏やかな流れを写したかったのですが2度とも言いそびれ、残せなかったのが残念です。きっとこの辺りから五艘の船は、3月の早朝祖母豊乃さんと村中の人々に見送られ出発したはずです。
高野口の駅にある見事な桜の古木と、2両編成のワンマン電車です。
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有吉佐和子さんの作品としては “紀ノ川” が有名ですが、私は同じく紀州を代表する川の名をとった “有田川”のほうが好きです。“有田川”はまたの機会に。
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